チェリーをあげる。

家に着くやいなや、睡眠不足の頭でぼーっと考える。



伸さんの言葉が頭の中でこだまする。




“君の問題は渡とヨリを戻すことじゃなくて、早く処女を捨てたいってことだろ…?”



“君は早く経験したいだけで、別に相手は誰でもいいんだよ”





そんなことを言われて私もつい伸さんについて行っちゃったけど、


実際伸さんに迫られて、


ホントはそうじゃなかったってことがよくわかった。




私…、


やっぱり渡さんじゃないとダメなんだ…。



初体験はやっぱり渡さんとしたいんだ…。




そんなことに気づいたものの、


私は礼さんのことでまた渡さんを怒らせちゃったみたいだし、


伸さんとこんなふうに気まずくなった今、


もう彼の寮を訪ねて行くこともできない気がした。




渡さん、たぶん電話には出てくれないだろうから、


そうすると次はバイト先で待ち伏せなきゃいけないかな…。




うーん…。
< 206 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop