チェリーをあげる。

よっこに言われたカフェは私の家から結構離れた町にあって、その上初めて行くお店だった。



ようやく探し出して中に入ると、


よっこは先に席を取っていて、小さなメニューとにらめっこしていた。




「ごめん、遅くなっちゃった」




急いでテーブルまで走って行くと、




「いーよ、別に」




時間に遅れた私を彼女は怒ることなく受け入れてくれた。




「雛は何食べる?」




そう言ってメニューを見せてくれたよっこは、


彼氏に会いに行くというのに、特に気合の入った様子がなく、


服もメイクもいつもと何ら変わりがなかった。
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