チェリーをあげる。
02 嬉し悲しの初デート
次の日。
私は携帯の着信履歴から、渡さんに電話をかけてみた。
どうせ平日は遅くまでバイトだろうと思ったので、きのう電話をもらった時刻に通話ボタンを押してみた。
するとちゃんと彼につながって、私は渡さんと少し話をすることができた。
きのうの電話で渡さんは私に敬語を使っていたけど、
今日はタメ口というか、いたって普通の言葉で話してもらえたからよかった。
聞けば、渡さんは近くにある某国立大学の1年生だった。
一浪して大学生になったそうで、年は私よりひとつ上らしい。
工学部で勉強していて、化学の先生の免許を取るのが夢とのこと。
出身は他県なんだけど、アパートじゃなくて、大学の寮で生活しているんだって。
レンタルショップでのバイトはこの4月から始めたって言ってたから、
もっと早くあの店に行っていればよかったなと後悔した。