チェリーをあげる。
自動ドアをくぐると、さっきまでの暑さはピタリと止んで、中は少し寒いくらいだった。
会計カウンターの前を通り過ぎ、幅広の廊下を少し歩く。
よっこはエレベーターの前で足を止めると、上からやって来たエレベーターにささっと乗り込んだ。
とっさに私も扉の向こうへ身を投じる。
6階で扉が開くと、よっこが「降りて」と言うので、私は先にエレベーターを降りた。
目の前には左右に廊下が広がっている。
辺りに人がいる気配はなく、なんとなく静かだった。
エレベーターを降りたよっこは「こっち」と左を指差し、また早足で歩いて行った。
私もよっこの後について、長い廊下を突き進んだけど、
病室らしき部屋はどこにも見当たらず、
ただ小さな個室が横にたくさん連なっていた。