チェリーをあげる。

「実は彼、1度結婚に失敗してるんだ…。奥さんに逃げられて、幸せな結婚生活を送ったことがないんだって…。だから私、自分がイイ奥さんになって、彼に幸せな結婚生活をプレゼントしてあげたいんだ…」


「そうなんだ…」


「うん…」




よっこの目には、うっすらと涙がにじんでいた。



彼女の告白には、自分も少し胸が痛んだ。



悲しそうにコーヒーをすするよっこに、何て言ってやればいいかわからない。




無言状態はきつかったのでとりあえず口を開くと、




「じゃあよっこはこれからは正さんと幸せな家庭を築いて、いずれは子どもなんかも作ったりして、彼のこと幸せにしてあげるわけだ…?」




口をついて出てきたのは、そんな言葉だった。




「子ども…?」




私の言葉によっこが眉を寄せたので、一瞬何か悪いことを言ったかなと思った。




「う…ん」




苦笑いしてうなずくと、




「子どもかあ…」




よっこはうつむいた。




…やっぱり私、何かまずいこと言った?
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