チェリーをあげる。

食事が終わると、




「とりあえず私の家に行きましょ」




礼さんの言葉で、私はそのまま彼女の家へ泊まりに行くことになった。






再び渡さんのお姉さんの車に揺られること約5分。



礼さんの家はさっきのお店のすぐ近くにあった。




周りには田舎と言わんばかりの風景が広がっていたけど、


先祖は地主か財閥を思わせるような大きな家で、


中に入るとやけに腰の低いおじいさんとおばあさんが出て来て、わざわざ私に挨拶してくれた。




「うちは兄がいるんだけど、今は就職して家を出ているし、両親も仕事で夜にしか帰って来ないから、気兼ねしないでゆっくりしてってね」




礼さんが言った。




「すみません…」




礼さんて、こんな大きな家のお嬢さんだったんだと思うと、やけに引け目を感じてしまう。




「夜は客間で寝てもらうことになるけど、とりあえず私の部屋に行きましょ」


「あ…、はい…」




私は複雑な気持ちのまま礼さんについて、2階にある彼女の部屋を訪れた。
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