チェリーをあげる。

「私ね、高校で美晴と知り合ったんだけど、以来彼女の家によく遊びに行ってたの…。それで渡と知り合ったんだけど、私も彼も大の映画好きってことで話が合って、それがきっかけで私達付き合うようになったのね」


「そうだったんですか…」




ふたりのなれそめを聞くのはこれが初めてで、ちょっと胸がドキドキ言った。




「でね、2年前の夏休みだったんだけど…、私と渡、この部屋でそのDVDを一緒に見てたのよ」


「え…」




私は手にしていたDVDのケースをちらっと見た。




「そしたらその映画、途中で主人公とヒロインが激しく結ばれるシーンがあってね…、何となくうちらもそういう雰囲気になっちゃったんだよね…。正確に言えば、私の方が彼を誘った感じになったんだけど…」


「えっ…?」




礼さんに視線を戻すと、彼女はため息をついていた。




「それで、そのまま体を重ねたら、できちゃったんだ…、あいつの赤ちゃんが」


「え…」




その告白に、私は言葉をなくしてしまった。




他人の体験談を聞くのはいつも衝撃だけど、


この話は好きな人の話だけに、受けたショックも最上級だった。
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