チェリーをあげる。
12 最後の事件、私の運命
渡さんの地元から戻ってすぐ、私は渡さんのバイト先であるレンタルビデオショップに電話を入れてみた。
けど、
電話に出てくれた男性に「バイト希望です」と話すと、
「うちは小さい店だし、今は間に合ってるよ」とあっさり電話をきられてしまった(泣)。
でも、こんなことでくじけてなんかいられない。
私は履歴書持参で直接店に足を運ぶと、じかに店長さんに掛け合ってみた。
「父が急にリストラされちゃって、急遽自分で稼がなきゃいけなくなったんです」
「このお店に来る度、いつも感じのいいお店だなって思ってて、私映画も好きだし、バイトするならぜひこのお店でって考えてたんです」
「勤務時間はいつでもいいです。仕事だって何でもします」
適当な言葉を並べ、精一杯懇願すると、
30代くらいに見える無愛想な店長は、
私の顔と履歴書を見比べながら、「ホントに何でもするの?」と私にたずねた。
「はいっ…!」
そう元気よく答えると、
店長は「それなら君には夜のシフトに入ってもらおうか」と言ってくれた。
「あ…、ありがとうございます…!!」