チェリーをあげる。

10月が近づいたある日のこと。


レンタルビデオショップのバイトを終えた私は、制服からミニスカートに着替えた後で、


ひょこっと顔を見せた店長に呼び止められた。




「若井くん」


「あ…、はい」




帰ろうとしていた足を止め、店長の方を振り返ると、


彼は怪訝そうに言った。




「君さ、今日のトイレ掃除まだしてなかったよね?」


「あ…」




そうだった☆




バイトしたいと頼みに来たとき、私が何でもしますと言ったせいか、


店長は私に店のトイレ掃除係も命じていたのだ。




「毎日してくれなきゃダメじゃない」




店長がそう促すので、




「すみません、すぐやって来ます…!」




私は荷物を置いて、しぶしぶ店のトイレへ足を運んだ。
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