チェリーをあげる。
思わず目を閉じたとき。
再びトイレのドアがバタンと開いて、バタバタと人が入ってくる気配がした。
「何…?今度は一体誰だ…?」
店長が足音に気を取られ、ふと上を向いた瞬間。
何かをガタンと床に置く音と、ササッと人が動く音がして、
パシャっと上から何かが降ってきた。
「はあ…?!」
「きゃっ…!」
体に冷たい液体を感じた。
「うわあああ…!」
いきなり叫び出した店長は、床に座ったまま両手で目を押さえていた。
「雛ちゃん、早くカギ開けて!」
渡さんの声で我に返った私。
「あ…」
「早く!」
「…はいっ!」
急いで立ち上がり、カギを開け外に出ると、
トイレ用洗剤の容器を持った渡さんが、椅子の上に立った格好で私を見下ろしていた。