チェリーをあげる。
「えっ…」
救急車の到着に驚いていると、
停まった車から担架を持った人がバタバタとふたり降りてきて、
店から出て来た渡さんと一緒に慌しく中へ入って行った。
えっ…。
まさか店長、大変なことになっちゃってる…?
間もなくさっきのふたりが担架に乗った店長を連れて、店の外に出て来た。
店長は両手で目を押さえたまま苦しそうにうなっていたけど、
すぐに救急車に乗せられ、暗闇の向こうへ消えて行った。
どうしよ…。
私達、もしかしてまずいことしちゃったかな…。
そう思って心を痛めていたら、
「…ったく、救急車を呼べだなんて、店長も大袈裟だよな」
すぐ背後から渡さんの声が聞こえた。
「渡さん…」
とっさに振り向くと、
「これで俺達のクビも確実だな」
渡さんは大きくため息をついていた。