チェリーをあげる。

「俺、トイレに髭剃り忘れてさ…。慌てて取りに来たらこれだもの」


「え…」


「君って人はホントトラブルメーカーだな」


「あ…、ご…、ごめんなさい」




思わず頭を下げると、




「ま…、君に迷惑かけられるのにはもう慣れてるからいいけどさ…、一体店長と何があったの…?」




渡さんがそう訊いてきたので、




「それが、これこれこういういきさつで…」




私は店長に迫られた経緯を渡さんに簡単に話した。




「そっか…。店長、こないだ彼女と別れたって言ってたから、きっと人恋しかったんだろーな」




私の話に、渡さんは腕組みしながらうつむいた。




「ごめんね…、これで渡さんも新しいバイト見つけなきゃいけないよね…?」




私が再び謝ると、渡さんは苦笑した。




「別にいいよ…。ちょうどバイトを変えようかなって思ってたとこだったし」


「え…?」
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