チェリーをあげる。

渡さん、もしかして私と一緒に働くの、やっぱり嫌だったのかな…?




気まずくなってうつむくと、


渡さんは駐車場にある自販機でコーヒーを2本買い、その1本を私によこした。




「俺、夏休みに塾でバイトしてただろ…?あの仕事、結構楽しくてさ…。教壇に立つのは将来の勉強にもなるから、いずれこっちのバイトはやめて、また塾のバイトをしたいと思ってたんだ」




渡さんはコーヒーを飲みながら話してくれた。




「そうだったんだ…」


「うん」




怒ってない状態の渡さんとこんなふうに話すのは、ホント久しぶりだった。



外灯にうっすらと照らされた渡さんの顔がはにかむ。




「ビデオショップでバイトしてたのは、単に映画好きで、ビデオに囲まれていたかったのもあるんだけどさ…、そういうのも最近もういいかなって思えるようになってきたんだ…」


「…え?」




それって、


礼さんのこと、もう吹っ切れたっていうこと…?
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