チェリーをあげる。

「まあ事故って言っても、ぶつかったのは自転車だから、そんなたいしたことないと思うんだけど、あなたアスファルトに頭を打っちゃったみたいで、しばらく意識がなかったんだって」


「え…」


「それで相手の方が救急車を呼んでくださって、この病院に運ばれたってわけ」




看護師さんは血圧を測り終えると、私に四角くたたんだ病衣を差し出した。




「これに着替えてちょっと待ってて」


「え…?私、まだ帰れないんですか…?」




私の問いに、看護師さんは苦笑した。




「そうね。今は何ともなくても、事故に遭うと後から痛みが出てくるってこともあるから、ちゃんと検査しときましょ」


「えっ…」


「様子見で今夜はここに入院してもらうから、あとで家族に連絡して、ここに書いてあるもの用意してもらってね」




看護師さんは私に何枚かの書類を差し出した。




「ここにご両親のサインとハンコをもらってね」


「入院同意書…」




私、ホントに入院するわけ…?
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