チェリーをあげる。

その後。


私は病衣に着替えさせられ、


体中のレントゲンを撮られて、病室でおいしくなさそうな夕飯を食べるよう勧められた。




「ここしか空いてないのよ」と通された病室はひとり部屋。


料金も大部屋より多少かかるらしい。




大金を盗まれたというのにこれまた痛い出費だとへこんでいると、


両親と蒼がやって来て、ひたすら大丈夫か訊かれた。




体は大丈夫だけど、心がもう死にそうだよ…。




そうこぼしたかったけど、私は無理矢理大丈夫だよと笑って見せた。




すると両親は安堵のため息をついて、


「アパートから必要な荷物持ってくるから」と、


私からアパートのカギ(これはスカートのポケットに入れてたから無事だった)を受け取り、またいそいそと外へ出て行った。
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