チェリーをあげる。

「へー、よかったじゃん」




私が適当に返すと、


蒼は「だろ…?それにあっちもすごくいいんだ」と目を細める。




「あっち…?」


「決まってんだろ?エッチだよ」


「……」




2コ下の蒼はまだ高校2年生だ。


姉をさしおいて何生意気なこと言ってんだと思っていたら、




「いいぞー、エッチは」




蒼は思い出し笑いでもしたようにくくくと笑った。




「どうせ雛はまだ彼氏だってできてないんだろ…?お前も早くそういうことができる相手を見つけろよ」




そんなことをさらっと言う蒼の頭を、




「ば…、ばかっ…!」




私は思わず平手でたたいていた。




「それが病人にする話…?!ちょっとは場をわきまえてよね…!」




怒る私に、




「何だよ…」




蒼はたたかれたところを右手でさすりながらぷーっとふくれた。




「自分に男がいないからってひがむなよな」


「は…?別にひがんでなんかないし…!」
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