チェリーをあげる。

「おー、キハチのスイーツかー」


「バカ…!それはあんたがもらったんじゃないでしょ?あたしのなんだからね!」




袋の中を覗くやいなやハイテンションになる蒼を怒鳴りつける。




「なんだよー、少しくらいわけてくれてもいいだろ?」


「ダメっ!あんたになんか死んでもやんないっ!」






再びふたりで言い合っていると、


またドアがノックされ、誰かがやって来た。




「雛、入るわよ」




誰かと思えば、今度は両親と、


制服姿の警察官。



警官の方はさっきのおばさんと同じく片手に大きな紙袋を持っている。




おまわりさん、


さっきのおばさんの通報で、今朝の事故のこと聴きに来たのかな?



それとも私が出した被害届について確認に来た?




そんなふうに思っていたら、母が口を開いた。




「あんたのアパートで荷物をまとめてたら、雛宛に落し物が届いてるって、こちらのおまわりさんから電話がかかってきたのよ」


「え…?」
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