チェリーをあげる。

思わず目を閉じると、


少しして渡さんの声がした。




「雛ちゃんて、コンタクト入れてるの…?」


「え…っ」




再び目を開けると、渡さんの顔はとっくに離れていて、彼はまたコーヒーを手にしていた。




「あ…、うん…。あんまり視力よくなくて、大学に入るときに作ったんだ…」




なんだ…、




キスと違うじゃん…(泣)!!




消沈しながら自分もコーヒーをすすると、渡さんの横顔が言った。




「やめれば?」


「え…?」


「コンタクトなんて、購入代金に加えて、ケア用品とか買い続けなきゃいけないんでしょ…?」


「あ…、うん…」


「そんなん金かかるだけじゃん」


「え…」


「別にメガネでいいんじゃない…?」


「……」




意外な発言だった。
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