チェリーをあげる。

「同じ部屋、同じふとんで一晩過ごせば、渡さんだってすぐその気になってくれるんじゃない?」


「えー?!」




男の人のことって、正直私はよくわかんないんだけど、そういうもんなの…?




「でも渡さん、あんまりお金使いたくない人みたいだし、旅行に行こうって誘っても、一緒に行ってくれるかどうか…」




私が不安をあらわにすると、




「ああ、それなら大丈夫。うちのイトコの家がね、海の近くで民宿やってんの。おばさんに頼めば宿泊費とかタダにしてもらえると思うから、夏休みになったらみんなでそこに遊びに行こうよ。泊りがけでさ」




ちーちゃんは笑った。




「みんなって誰?」




よっこが訊くと、ちーちゃんは言った。




「決まってるじゃん。私とひろぽんと、雛と雛の彼と、よっことよっこの彼とだよ」


「あー、ごめん。うちらパスだわ」




すかさずよっこが言うと、




「そう?じゃあ、私とひろぽんと、雛と雛の彼と、ダブルデートってことにしようか」




ちーちゃんは私に目配せした。




「私、ひろぽんにも雛のこと話して、この旅行で雛がチェリーを卒業できるよう協力してもらうから」




彼女の発案にのってもいいものか一瞬悩んだけど、


結局私はその計画に、藁をもつかむ思いでのってみることにした。
< 56 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop