チェリーをあげる。
「同じ部屋、同じふとんで一晩過ごせば、渡さんだってすぐその気になってくれるんじゃない?」
「えー?!」
男の人のことって、正直私はよくわかんないんだけど、そういうもんなの…?
「でも渡さん、あんまりお金使いたくない人みたいだし、旅行に行こうって誘っても、一緒に行ってくれるかどうか…」
私が不安をあらわにすると、
「ああ、それなら大丈夫。うちのイトコの家がね、海の近くで民宿やってんの。おばさんに頼めば宿泊費とかタダにしてもらえると思うから、夏休みになったらみんなでそこに遊びに行こうよ。泊りがけでさ」
ちーちゃんは笑った。
「みんなって誰?」
よっこが訊くと、ちーちゃんは言った。
「決まってるじゃん。私とひろぽんと、雛と雛の彼と、よっことよっこの彼とだよ」
「あー、ごめん。うちらパスだわ」
すかさずよっこが言うと、
「そう?じゃあ、私とひろぽんと、雛と雛の彼と、ダブルデートってことにしようか」
ちーちゃんは私に目配せした。
「私、ひろぽんにも雛のこと話して、この旅行で雛がチェリーを卒業できるよう協力してもらうから」
彼女の発案にのってもいいものか一瞬悩んだけど、
結局私はその計画に、藁をもつかむ思いでのってみることにした。