チェリーをあげる。
けど、
ドキドキしながらファスナーのあたりにフキンを置いたとたん、
渡さんがさけんだ。
「あー、いいよ…!自分でやるから…!」
「えっ…?」
あっという間にフキンは渡さんに取り上げられてしまって、渡さんは濡れたところを自分で拭き始めた。
それからひょいっと立ち上がって、
「ごめん。俺ちょっと着替えてくるから、先ご飯食べてて」
そう言って、さっさと食堂を出て行ってしまった…。
「なんだよ…。作戦その1失敗かあ…」
ひろぽんがため息をついた。
「あとちょっとで昼寝タイムにベッドイン!…だったのになー」
「けどさ、作戦は他にもまだあるわけだし、また頑張ればいいじゃん…?」
ちーちゃんが箸を動かしながら言った。
「…だよね。夜までまだ時間あるしね…」
私もなんとか笑顔を作って、再度みんなのグラスに水を注いだけど、
作戦その2は更なる心の準備が必要だから、私は内心穏やかではなかった。