チェリーをあげる。

作戦その2。


私は自分の体を静かに彼の体に近づけていって、


ひろぽんに言われたとおり、彼のデニムのファスナーの上に、そろっと指を置いてみることにした。




…ドキドキ。


…ドキドキ。






その瞬間、


パチッと目を開けた渡さんがこっちを向いて言った。




「何してんの…?」


「えっ…」




ま…、まずいっ…!




私は思わず起き上がり、




「ごめんね…!なんか蚊がとまってたから、ちょっとたたこうかなって思って…」




とかなり苦しい言い訳をしていた(泣)。




渡さんはしばらく私の顔をじっと見ていたけど、


やがて「ふーん」とだけ言うと、私に貸してくれていた腕をすっと引っ込めて、


こちらに背を向ける格好で再び寝てしまった。


(たぶん。)






ひろぽんは、


「とにかくあそこを刺激すれば、渡くんもその気になると思うよ」




とか言ってたけど、




そんなチャンス、全然つかめないじゃないのぉぉぉ(泣)!
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