Zero

傷み

僕が望むのは、今まで通りに君と、少し距離を
置いてこの二人の間しかできない空間を共有する。

この広い宇宙の中、君と共に、心を閉ざす。
眩しかったあの日、君は僕のことを見返ってくれたの。

うまく言えないけど、君の瞳を見つめた時の、この気持ち。
ただ耳を傾たいの、鳴き響いている君の心を。

向こうで住んでいるビール女と初めて会話できるのはあの日だった。
「君、どうしたの?」

夜仕事が終わって家に帰ったところ、ドアの隣で倒れた人間がいたのを見つけた。
長い黒髪が滝のように垂らし、すごい汗をかいた。
身が捩れるほど痛みが伝わってきた。

「君、しっかりして」とその時、彼女は少し目を覚ました。
顔に笑みを浮かべた。
この微笑み、何回も何回も僕の夢の中に見たことがあるような気がした。
どうして?

どうしようかなーと躊躇っていた時、彼女は再び、目を閉じた。
まさか意識不明になったの。
そのまま彼女のことをほっとくことがどうしてもできなかった。

彼女を部屋の中に運ぼうとしたとき、
彼女を抱いた腕から彼女の体からすごい熱が広がり散らばってきた。


取りあえず、彼女の家のドアが開けたままなので、
彼女に薬を飲ませようと思っていた。

体から出した熱は、復活した孤独感だろう。



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