Zero

ビール男

普通はシャワー中で電話が出ないでしょう。
体が濡れているし、髪にシャンプも付いてるかも。
いくらのわけを考えても僕は絶対電話を出ない。
僕はそう思い込んだ。

なのに、あのシャワー中の「ビール女」がさっとシャワーを済ませて電話を出た。
しかも、服なし。
裸で部屋に走り回ることが良くあるけど、あの時、濡れてる髪からの水を滴らせている。僕、どきどきやってきて慌しくカーテンを閉めた。

つうか、僕覗き趣味ねぇよ。
でも、気になる。
シャワー中でも出ないといけない電話で何の話をしているのか知りたい。

カーテンを開いた時、彼女はもう通話が終わった。
浮世の楽しみや煩わしさの全てはもう疲れ果てたような気がかり表情を浮かべた。

色褪せたお花みたい。
髪の水はまだ垂れているけど、まるで涙をこぼすみたい。

この時、「ビール女」はまたがっくりとうなたれてビールを飲んでた。
ビール、そんなに美味しいの?

僕は全然お酒が苦手で、会社の上司に連れて居酒屋に行ったことが何回もあるけど、僕飲んだら、すぐ寝てしまった。
起きたら、無事に自分のベッドで寝ていた。
このマンションへ引っ越してから酔っ払ったことが一回があった。
次の朝に起きてからちゃんと自分のベッドにいることを気づいてた。
さすが!
つなみに、僕の上司の阿部さんは全然酔っ払ったことが一回もなかった。
こういうわけで、お酒は僕にとっては飲まないといけないものだ。

お酒なら、僕にとっては2種類しかない。
例えば、弱いお酒と強いお酒。
若しくは、楽しい時飲むお酒と辛い時飲むお酒。
若しくは、女を連れて遊びに行く時飲むお酒と上司に飲ませたお酒。
なので、お酒なんで美味しいものじゃない。

最近の僕、仕事している時もくよくよしてる。
彼女のことを気になってた。
変!

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