Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
少し雲が出て来た
急行駅で待ち合わせなんだけど
私が一番早かったらしい
海水浴客で駅前はいっぱい
浮輪とかボディボとか
改札前の床に降ろされてる
お土産屋さんの軒先には
貝で出来たウィンドチャイムとか
モビールみたいのが綺麗だ
「ユカ!」
「マキちゃん!」
珍しくマキちゃんが
髪を二つに結んでる
そしてシノがやって来て
ユリちゃんが一番最後にやって来た
「ユリちゃん?!かわいい!!」
皆で一斉に
ユリちゃんの爪に気が付いて
注目した
スクエアカットのスカイブルー
真珠と透明な
ラインストーンがついてる
「えー?!いつやったの?!」
「お客さんにやってもらったの〜
ネイル学校通ってるお姉さん
…新学期入ったら怒られるから
後一週間の命だけど…」
「始業式だけだったらバレなくない?!」
「かな〜?!」
「手袋してくとか」
「不審だよ〜」
皆で大笑いしながら
切符売り場に向かう
――実は私達は
全員セーラーだ
青山さんのくれたチケット席番号
本で確認したら、
恐ろしい程前のだった
前から三列目だ
…今回私達は
楽器を持っていない『見る側』だから
野音のステージから
どれだけ観客席が見えるのか
わからないんだけど
もしかしたら、あの四人って
判ってくれるかもしれない
実は、ちょっと弱気
私達は
あのベース騒動には
参加してない事になってて
青山さんは何も知らない
翌日の新聞には
『ベース戻る』の記事
犯人の名前は載ってなくて
『戻された』
シノの部屋から
ストロベリーピンクとして
"CheaーRuu"のサイトの掲示板にも
喜びのカキコミをした