Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


―――16時

会場の放送が入って
人の波が、どこからか集まって来る
それが長い列になって
係員の人が、それを誘導した


『当日チケットはありません
全て指定です』

「席は決まってるんだし
焦る事ないよ〜」

ユリちゃんがそう言って
我先に列に並ぼうとした私は
ちょっと照れながら
皆の元に戻る


モギリの人達は
結構、……かなりマジメに
お客さんのボディチェック

女の人には女の人のチェックがあって
――側のワゴンの中に
没収されたビデオが
結構な数入っていた
逆ギレしてる男の人の所に
デカイ男の人達がやって来て
"事務所行きましょう"と言われて、
その持ち込んだと思われる人は
急にシュンとする

このチェックの人達だけで
多分他のライヴの、三倍位いそうだ――

私達もチェックを受けて
「はい ありがとうございました」と
頭を下げられ

やっと
音楽堂の鉄柵の中へと、足を踏み出す


―― ホントに"堂"って感じで
白い波が重なったみたいな屋根が
ステージの上に、影を射してる

両脇には、白い大理石の柱みたいなセット
黒い足場
薄くて半透明の布が
長く風に、ゆらゆらと翻っていた

手を拡げるみたいに
沢山のスポットライト

ステージの真ん中には
大きなスクリーン

その脇にもまた
二つの天井から下がる、横断幕

赤地に黒文字で
"Global Record Presents"
野外・夏の陣 と在った





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