Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


四人はそれぞれ
チケットを手に、
扇型に拡がった
席の後ろの番号を捜す

左のエリア 道 真ん中 道 右のエリア

私達は、ど真ん中
前から三列目の……

『あれ?』

四人同時に、声をあげる

私達の席の筈の所に
もう誰か座ってる

金髪の、赤いシャツ
横の、髪クルクルな派手目の女の子と
ケラケラ笑いながら
肩を抱いて、なんか話してる


道の方から
席のプレートを見ると
やっぱりうちらの席

マキちゃんが
「…言って来る」と言う前に
シノがツカツカと
そいつらの前に回り込んで
チケットと、携帯の地図を見せ付けて
堂々と注意してる

"あ?!"とか言ってるのが聞こえて
皆一斉に近くに走った

…実はこういう時
1番喧嘩っぱやいのがシノだ

近くの係員さんがすぐに
何かありましたか?と走って来て
『チケットを見せて下さいますか』と
にこやかに話し掛ける

渋々それを取り出したその男は
彼女らしき横の人に
"マジでぇ?!
アンタ前の席取れたって言うから
来てやったんじゃん!"と
先にツカツカ歩かれていた


シノはストン、と席に座り
私達も後に続く

ユリちゃんが
「シノ強い〜〜」と笑い
マキちゃんが、まださっきの
彼等の姿を見ていた

同じ列だけど、ずっと最後尾の
立ち見席――

……でも、取れただけで凄いのにな…


ホントならうちらは
こんな場所に座れ無かったんだから……

変な罪悪感

マキちゃんもそうっぽい

席を見ると、ユリちゃんが手招きしてて
マキちゃんと私は、席に着いた





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