Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


人が大股で走り始めた
横断歩道の、白い橋の上で
反対に向かっていた
視線と視線がぶつかる


楽器弾き特有の
節の太い指

でも緑川さんや、青山さんに比べると
もう少し小さくて

その腕は
私の進んでいた方の側に
肩を押して走り

二人が渡りきる寸前に
信号は、赤になった



――私を押した
茶色い髪の主の、シャツも赤


細い歩道の脇
横道に入るビルの角で
綺麗な横顔が、振り向いた


「……な〜にやってんだオマエ!
誰かと来たのか?!」


「…マキちゃんのアニキ」


「…なんだその顔

さては一人か
―――― 目的は何?」



…考えてみた




「Jemuに、行こうと思って」


「…今日は夜から
貸し切りワンマンでバンドやるから
入れねえぞ」



……見るだけで

「――― いいんデス。」





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