Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



「アニキは…
『彼女』に 何を貰ったの?」


池上さんは
短くて、丸っこいグラスの縁に
半分に切ったレモンを廻す

そして、お皿にひいた塩の山に
逆さにして一回埋めて出すと
縁には雪みたいに
白い結晶が付いた


シェイカーをシャカシャカ振り
大きな氷が一個入ったそれに
白い飲み物を入れると
アニキに渡す

グレープフルーツの、いい匂いが
部屋中に拡がった



「……オレは


信じて、もらった」


アニキは、そう言って
自分の左手を見つめる





―――『彼女』は
その虚像の空間で
周りに何を貰ったんだろう


そしてその彼は
『彼女』に、何を貰ったんだろう…






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