Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
コンコン とドアを叩く音
「ユカ 置いとくから
二人で食べなさい」
そう言ってお母さんは
そのまま下に降りて行った
開けてみると、素麺。
「…また素麺」
テーブルの上に、お盆から
氷と素麺の乗ったガラスの器を置いた
つゆのビンと、つゆ入れの皿を
マキちゃんと自分の所
つゆをマキちゃんが入れてくれて
箸で素麺を取る
ピンクの入ってる奴でちょっと嬉しい
二人でズルズル食べていると
携帯に着信
『エースをねらえ!』が高らかに鳴って
マキちゃんが真顔で噴き出した
「コーチ!」
そう言って出ると
『はいはい
…夕飯だったか? ごめんな』
「あ、すいまふぇん マキちゃんと
素麺食べてました」と
麦茶を取って、飲み下す
すると青山さんが言った
『花火やらない?』
「………え ? 」
―― 携帯の
小さなマイクの向こうから
微かな波の音
バイクの走る音がして
…しばらくしたら近くを
同じような音が通過して行った
「…近く なんですか?」
『 うん 』