Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


「…きちんと付き合うって話には
答えた事はないよ
ただ…女の子かもって」


「へ?」


「…淋しそうな人だなって言うのは
感じてたし
女の子かもよって言われて

…えと…
私、同じ様にケガして、
頑張ろうねって話してた
友達が居て…

その人と揉めた時に、
助っ人してくれたり
相談乗ってくれて
私、
……あんまり学校、行って無かったから
女友達出来るの嬉しいし
それで電話で話す様になったんだよ」

「うん」


「……それで
俺の女になれって言われたり
でも雰囲気、遊んでる感じの人で

だったら逆に
……私も寂しかったし
暇つぶしに会話して貰えるなら
面白い人で
遠くに住んでる人だし
いいよねって」

「うん」

「……でも途中
電話で話してた時
女の人と揉めてるのも聞こえたから
『ああ、この人は
彼女か奥さん居るんだなあ』って」

「…結婚してたの?」

「ううん なんかね
前の彼女さんが、出入りしてたみたいで」


「…何かヘンじゃない?それ
信じたの?」


「信じないって言うか…
この頃だんだん…

記憶無くしてた時の事
思い出して来たの……」


「……何か きっかけがあったの?」




「……好きって
言われたの………」


「…………うん」


――― アズさんは
クッションの上で
膝を立てて、そこに両手を回す

瞳は"その時"を
思い出している様だった



「…事故でお前は
ケガをしたんだよって言われた

……お父さんがやって来て
歌を唄いたいなら、
お父さんが手伝うよって

………約束していた気がしてた

でもそれが何かは判らなくて
昔からの夢だったから
また歌える様に、頑張った……


―― 好きって言って貰った時

…違う声が聞こえた

それが何か判らなくて
毎日頭が痛くて、
死にそうだった…


この 顔も判らない、電話の向こうの人が

好きって本気で言ってくれてるのは
ちゃんとわかったんだ…

だから、この人に好きを返せば
楽になるのかなって

……そう思った……」







< 200 / 430 >

この作品をシェア

pagetop