Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
マキちゃんと二人で
階段の下まで降りた
ソーッと、居間の様子を見る
廊下への扉は閉まってて
奥で何かしてるのは
ガラス越しから見えた
玄関まで、姿勢を低くして
ひょこひょこと移動し
扉を過ぎたら速足で、靴までたどり着く
マキちゃんに先に出て貰って
大声で
「マキちゃんとコンビニ
行って来るねー!」と叫ぶ
「携帯持ったの〜?!」と
こっちに来る気配があったので
「持ったーー!!」と叫び
急いで外に出て、玄関を閉めた
別に普通に
二人でコンビニに行くなら
ダメとは言われないんだけど
何か、自然に、
マキちゃんはギターを担いだし
私もベースを取っていたから
『楽器担いでどこ行くの?!』って
絶対言われるから
家が両側を埋める、細い坂を下りる
T字、右の角にコンビニの
24時と書かれた、
据え置き看板のあかり
入口は向こうだから
店内はまだ見えない
目の前の道路は、
店からの光で明るくて
反対車線の路肩に
………赤いオープンカーが
停まっていた
車外には、青山さんが
ドアの所に腰をかけるみたいにして
煙草に火を着けてる
黒いTシャツ
下は古着っぽいジーンズ
髪が、だいぶ伸びていて
何だか知らない人みたいな
『芸能人』のオーラが出ていて
……確かに青山さんなんだけど
――青山さんは煙草を口にくわえて
顔を上げる
そしてニッコリ笑うと、少し首を傾げ
組んだ右手の親指で
コンビニの明かりを二回、指差した