Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



…そして

バイオリンの音と

あの砂漠みたいな
私のコンパスを粉々にされた
あの曲が聞こえて来る筈なのに


――――― すぐに、一斉に
Globalミュージシャンが出て来て
最近の新曲を開始して
盛り上がり


心が無茶苦茶みたいになった
あの瞬間は

――――見事にカットされていた




『彼女』が『Azurite』に戻って
"いつも流れてる曲"を歌い始め

各バンドの演奏の合間に
インタビューとか
楽屋裏の風景とか



「…………なんで……?」




―― 大人の難しい事情とか

もしかしたら
青山さんが既に、
バンド組んでるからとか

色々頭を廻ったけど
ミチロウとか他のバンドだって
ごちゃまぜになってやってるから
そういうのは関係ないだろうに


困惑して、
皆の顔をキョロキョロする私に
アニキが、笑って言った



「"タイムマシーン"だよ ユカ

――あの日、やれなかったあの曲を
空に飛ばしたかっただけなんだ


ボウズの威光を駆使して

ミュージシャンとしては、
事務所にも所属してないオレと池上が
あんな場所を使ってやらかした
最高に贅沢な
時間旅行ってワケ

―― だから敢えて、カットして貰った」



…もしかして これは


「………"これでやっと 跳べる"……?」


―― 去年、青山さんが
車の中で 呟いた言葉


アニキは
「お…そんな感じかな」と笑い

青山さんも、池上さんも
笑ってる


テレビの画面の中では
あのDREAMを歌ったバンドに
皆、同じミュージシャンなのに
ギターや服に、サインを貰って
大騒ぎしてるシーンで
皆もそれを見て、盛り上がってる


――― そんな中アズさんが

「…足りないビーズあるから
取って来るね」と笑って
そっと、部屋を出た



…………アズさん?








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