Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
「…昼間話した時
なんかもう、自分はいらないって…」
「……何だよそれ」
アニキが助手席から
こっちに、身を乗り出す
「でも そんなニュアンスの事
言ってたんですよ…!!
だから私、馬鹿って
………どうしよう
――― お財布 ある
て事は、遠くまで行って無いよ!
戻ろう?!」
「…いや
あずるは、歩いてでも
ヒッチハイクしてでも、行く
―― 昔、それで北海道行った事
あるみたいだから…」
「青山さん!それ、昔でしょ?!
今はもう大人で、綺麗なんだよ?!
…危ないにも程があるよ!!」
池上さんが
「…確かにアズルン
並の男よりは、強いけどね」
「そうなの?!」
「うん…
青山くんとか、ハイタニンには
負けるとか言ってたけど
面白そうだから
戦った事あるけど
一回も、触れなかったから」
「………
なんでそんな完全ソロ仕様…」
青山さんが呟いた
「……誰も助けてくれなかったから
そうなったんだ……」
両手で顔を覆って、下を向く
「……僕、とにかく
東京に向かうね
Jemuだとしても、屋上にしても
…ハイタニンが
バイクで飛び出したって事は
ここにアズルンは近場に居ないって
判断したって事だから…」
「――トオヤ
どこに向かったんだアイツ…
目星はついてるのか…」
バイクだから
連絡、取れない………
私も携帯を取り出して
ギュッと、握る
「……青山さん」
「…青山さん!」
「…あ ああ 何?」
――…青山さん
手、震えてる……?!
「…しっかりして!青山さん!」
「……してるよ」
「してない!
ねえ 青山さん
他に、思い付くトコないの?!」
「……俺と最初に会ったのは
横濱の倉庫街…
山上公園…
―― そして、洋館
後は、……………阿尾森」
「何で阿尾森?!」
「………"彼"が住んでる場所だ」
「行かないよ
……それならとっくの昔に
行くはずだし
彼の前からもって言ってたもん!」