Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



――― スーパーの駐車場

『彼』が立ってた

背には、乗って行ったバイク

…口には 煙草



『彼』は
スーパーの入口に目をやる

中から、



「……あずる!!!」

青山さんは姿を確認すると
車のドアを開けて
一目散に、『彼女』へと走った



アズさんはびっくりして
青山さんを見てる

手には、スーパーの袋

私も慌てて降りて行くと
会話が聞こえて来た


「…え… あの
私、ビーズ足りなくて
ここの商店街に、手芸屋さんあるの
来る時見てたから
千円札だけ持って
自転車で来たんだけど…


え… 出てからそんな、時間経ってる?!

ご…ごめんなさい!!」


1番唖然としているのは
アズさんで
青山さんに抱きしめられながら
オロオロしている


―― 商店街の広場には
大きな白い時計塔が立ってて
それを見ると
……30分も、経ってない



「…な…何か起こったの?!」


『…"状況と勘違いと、
タイミングが重なった"だけ
アズは悪くないから
気にしなくていいよ

…近所に、買い物に出ただけなんだから』


「…う、うん

あ あのね ビーズのお釣りで
特売で、お水買ったよ!
うお?!」

アニキはそれを、奪い取って
キャップをグイと開けて
一気に半分位まで、飲み干す

目が、火みたいだけど
アズさんを、見ない。
……泣きそうにも見えた


「アズルン!見て見て!
アクアリウムショップがある!」

「おおお!!」

スーパーの隣は
お土産屋さんで、
その隙間の細い道の奥に
『アクアリウム・さかな』と
小さな看板

淡く、明かりが燈ってる

アズさんは
池上さんに、手を引かれ
青山さんの手も握ったまま
その細道に、入って行った





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