Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜





――ドアを押す

アクアリウムショップの中は
水分が立ち込めていて
空気が、ぬるい


壁一面に、水槽
真ん中にも

通路の先の、レジのトコには
眼鏡のオジサンが一人


――― コポコポと、水の音




アカヒレ、オトシンクルス

ゼブラダニオ


グッピー これは知ってる


…アズさんが
じっと見つめているのは

白い体に、青い目の光る
"ランプアイ"と書かれた魚。

皆で群れて、水の流れに向かってる


『…アマゾンの、メダカ』



『彼』はそう言って
水槽の向こうにいるアズさんと
青山さんのトコに向かう

三人は 一人でいると
物凄い目立つけど

……三人で揃うと、もっと目立つ

でも危うさが無くなって
それが、力に変わる


――― やっぱり
この人達は、一人で居ない方がいいよ

青山さんも、アズさんから
離れない方が良いよ……

もう、わかったよね…


難しい事なんて、要らないよ
好きなら好きでいいじゃん…


青山さんが
意を決したみたいに
『彼女』の名前を呼ぶ


「 …あずる 」

「はい!」

アズさんが
返事をして振り返った時
『彼』のポケットから
その青山さんの言葉の続きを遮る様に
振動音がした




『彼』はそれに、すぐには出ず
一度ドアの外に出て
またすぐに、戻って来る


『…アズ 』

「うん」


『…"彼"からだった

―― やっぱり、我慢出来なくて
新幹線乗ったって

……こっちに向かってる』




皆は、目を見張って

何故かレジのオジサンまで
こっちの話しを聞いて
目を見開いていた






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