Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
――…またゲーム雑誌読んでる
やっぱり『彼』も
髪が伸びてて
雑な感じではあるんだけど
『手入れされて雑っぽく』なってて
…やっぱりヘアメイクさんとか
いるんだよね
去年の夏、ライヴハウスで
『やって』って
髪
乾かそうとしてた時
言われたのを思い出す
ふい、と
顔をあげた『彼』が
私の目を見ると一瞬、驚いて
次には
光の具合で灰色とか、水色にも見える
一重の強い目に睨み付けられて
何か、口で言ってる
また、本に目を向けたけど
それを閉じて、棚に戻した
――― 出てくる
"オーラ、オッケー"っすって感じで
自動ドアがスッキリ開いて
……ブーツの音が
アスファルトに響いた
『何でオマエは
…また泣いてんだよ』
ハッとして、自分の顔を
グーで擦ると泣いていて
彼の視線が私を越え
道の向こうをむいていたから
振り返ると
赤いスポーツカーの前に
煙草をくわえたまま、
青山さんがしゃがんでいて
その目線の先で、マキちゃんが
突っ立ったまま
声をあげずに、泣いていた