Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


「ごめんね 」


もう一度、
岡田さんは、そう謝った


「…相手、私じゃありません…」


――― もう
何て言っていいかわからなくて
私もその場を立ち去る


少し行くと
戻ったはずの緑川さんが
しゃがんで待っていて

砂場を掘りながら
遊んでいた


「ヤドカリが居た」


「え そうなんですか?」


「あずるちゃん喜びそうだし
明日は様子見て
ゆっくり、散歩でも来ようか

あの子ほとんど
デビューから休んでなかったみたいだし
オフ、ちゃんと味合わせてあげようぜ」


「……うん 」


「しょげてても仕方ない

…冷たい様だけど
後は二人の問題だからさ」





―――ログハウスに戻ると
赤池さんが、釣竿を用意していて
夕方になったら
夜釣りに行く話で盛り上がっていた

青山さんは
「おかえり」と
私と緑川さんを見て微笑み

緑川さんが、青山さんの
少し腫れたその頬を冷やかしている



アニキは部屋の片隅で
PCに向いて、仕事っぽい

池上さんと『イメージ的には』とか
『アズルンの意見は?』とか
話しながらだから
次の『Azurite』の
プロモーションの内容なのかもと思った


その傍には『彼』

ちょっとPC画面を覗いてから
窓辺のソファーへ

私の顔を、少し見てから
ドサリと横になって
カーテンの揺れるリズムにあわせて
黒い髪を揺らす



―――こうしている間にも
色々な物事は流れて行って…




『彼』の傍に、なんとなく行く

海を見たまま
低い声で呟いた


『…アズ、本気寝してるから』

「 そっか 」


ホッとして、横にペタンと座る


――青山さんが
煙草をくわえたまま二階へ


「…やっぱほっとけないんだね」

『…30分置き位に、ああやってる』

『彼』が、
いつもの事って感じで笑うから
私も釣られて笑った






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