Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



― 『彼』の胸の上には
開かれた"聖書"
赤い、しおりの紐が見える



「あんた、クリスチャンなんだ?」


『…神様、信じて無いし
俺が信じてるのは、アズだけ』


「…はぃはぃ」



『……本棚にあった

神話とか、お伽話系』


「……へえ
管理人さんの趣味なのかな」




『…"知恵の実" 』

「 え? 」


『……楽園に現れた
蛇みたいだなと思ったんだ』


「…岡田さん?」


『 …そう

岡田さんが居なかったら
…アズは皆の事
青山さんの事を思い出すのが、
もっと遅かったかもしれない


…阿尾森の名産か、 リンゴ』


「………今、ちょっとゾクっとした」


『…こじつけ過ぎだけどね』


開いた本を
顔の上にして、日よけにしてる
笑った口元だけが見えた



「…やっぱり、あんた
ボーカル向いてるよ

……そういう発想とか
サボテンの話とか

私、きっと同じ物みたり
聞いたりしても
そういう考え、浮かんで来ないもん…」



――― 好きな人と
同じ景色が見たいのに
それを見られないって

やっぱ……つらいなあ……



『…皆で
クリスマスケーキ食って楽しいとか
そういう歌も、いいと思う

…そんなのが、ユカには似合ってる』


「ムカッ
食い気って事?!」

『…馬ー鹿 』


頭を、コツンと叩かれた



『…クリスマス どっか行く?』

「……え 」

『…多分、ライヴとかあるだろうけど』

「絶対あると思う…」


『…ライヴ終わった後
抜けて行くから』



「……わかった 」






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