Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


青山さんも、アニキも
池上さんも
『彼』も

そして、あの人も

『Azurite』

アズさんに出会わなかったら
全く別の生き方だったかもしれない


その青山さんが

"約束の日"の為に
ベースを弾き続けていなかったら
"CheaーRuu"だって無かったかもだし


―― そんな事言ったら
ストロベリーピンクですらも


……何か、ひとつ欠けても
"今"は無かったんだ




私は、階段を昇って
アズさんの居る部屋へ向かう


……なんでだろう

――― すごく顔が見たい
話したい


…皆こんなキモチで
アズさんの元に向かうのかな



ドアは開いていて
中を覗くと

青山さんが、床に座って
ベットに頭を乗っけたまま
ぐっすり寝ていた


アズさんは私に気が付いて
ニッコリ笑い
中へ手招きしてくれる


そっと、中に入ると
アズさんはビーズの続き

青山さんの手には
出来上がった、
ビーズのミサンガが
巻かれていた


「…出来上がったんだ」

「 うん 」


「………ホントに安心して寝てるね
青山さん」


「…ユカちゃんも、おいで」


青山さんが
目をつむったまま
声をかけてきた


「ウソ寝かあ」

私がそういうと
アズさんが、くすくすと笑う


青山さんが
寝ているのとは反対の
アズさんのベットへと潜り込む

膝に置いていたクリアケースを
青山さんが少し横に
移動してくれた


アズさんの腰の横から
向こう側の青山さんを見る



"…邪魔でしたね すみません"と
口だけで言うと

青山さんは
"いや"と
やっぱり口元だけで言って
またゆっくり、視線を
アズさんの手元に戻す


伸ばせばすぐに
アズさんに触れられる場所にいるのに

その指先の糸が紡ぐ光を
静かに、見つめている


きっと抱きしめたら
ビーズと糸が
ばらけてしまうから――――








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