Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
夜になって皆で、外に出た
「週刊誌にさ、売ろうぜ
『Azurite』に袖にされた
今人気のバンド
"CheaーRuu"のヴォーカル灰谷」
「かわいそうだってば〜」
緑川さんと赤池さんが
『彼』と離れた所を歩きながら
小声で笑いながら、そんな話
――…当分、ネタにされそうだなあ
「『彼』って
いじられキャラなんですか?
"CheaーRuu"の中だと… 」
「かなあ?一番、年下だから」と
赤池さん
緑川さんが吹き出す
「賢いけどな
あいつ今年、明示、入ったんだっけ?」
「……ウソッ…!!」
「マジだよん
最初は、
何処か別の所
受けるみたいだったんだけど
明示って、青山や真木ちゃん
カイヘーもそうだっけ?
"同じ所行く"ってさ」
「……それに加えて
バンドも頑張ってるんだ…」
赤池さんが
ベルトを緩めながら言った
「そりゃあね
皆、頑張ってるんだよ〜
どこも、デビューする前も後も…
コンテストの時
"LANCAST"さんって居たの、
覚えてるかな?」
「もちろん!蘭さんトコ!」
「蘭さん、
事務所から声はかかったんだけど
今、ボイストレーニングとか
楽器陣の猛練習中でね
あそこも固定は、
蘭さんとギターさんだけで
やっとあの頃、
一緒にやって行ける仲間が
見つかったって言ってて
デビューCD録る時、
あんまり弾けないと
スタジオミュージシャンの人達が
代わりに弾いてしまう所も
あるからさ…」
「…やだなあ…それ」
「バンド形態だと
あんまりないけどね
そのかわりに、そんな風に
練習をするんだけども」
「…私も、レッスンとか
学校とか行った方が
いいのかなあ…」
「あ〜 海平くん見てると
やっぱり凄いからね〜
でも、緑川は、どっか通って
誰かに教わった訳では無いしなあ」
「…… 一番大切なのは
自分を無くさない事だと思いまっす」
「……プライド?」
「我が儘とは違う、ね」