Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


「灰谷君の行動にも
惚れたかもしれないけど
ユカさんは
『彼』の"声"を、
とても好きなんじゃない?」




「……はい 」


「そして、どこかで
『彼』と一緒に、
…ベーシストとして、
やりたいんじゃないかい?」


「………………」


「――――ユカちゃん。
その気持ちは、
今のバンドのメンバーに対する
裏切りなんかじゃないよ

…楽器やってたらさ
仕方ないんだ


………うわあ 泣かれた……
ゴメン!マジでゴメン!!」



「…だっ…て
ホントは…大学とか
どうでも良…て

でもそんなの普通…じゃないから
皆ちゃ、んと…考えてるし

ししょー、は
やっぱり判…てたのかなあ…?

"メンバーの皆と話せ"っ て…」


「…青山が言ったのかあ」


「はい…」


「随分前に同じ事を、
青山本人に
俺達も言いましたよね。
赤池さん」

「そうねえ。言った覚えがあるわあ」


「……ししょー?」


「水クサイ奴だったからね
いつもクールに煙草吸って
感情出しません。みたいな?

色々なタイミングもあったけど
灰谷来てから変わったよ

…今となっちゃ
奴が居なかったら、とっくに
『Azurite』に行ってるかもしれない」


「……」


「でも俺は、それでも反対しないよ
究極の望みはそれなのを

俺達は、
『Azurite』と言うバンドを
最初に見た一人だから
充分、解る。

赤池はオッサンだから
物分かりよくて、声かけてたけど
俺は、その時、
頭の中めちゃくちゃになる程
……嫉妬したから

だから少し…
怖い話になるけど

彼女が刺されたのは
―なんていうんだろう

全ての嫉妬を受けて、とか
あの刺した人だけの
気持ちだけじゃなくて…」


「 緑川 」

「うあ ゴメン。
なんだろうなー 俺ちょっと変?
なんなんだろう、これ…」


緑川さんは
頭をグシャグシャと掻く


「…それ 私も、なりましたから
ここ来て、最初の時…」



「 あー… うん 」






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