Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
「ミチロウさんなんかも
似たような事たくさんあって
猫も杓子もロックバンド全盛期に
青春送った人だから
ニューミュージック不遇で
時期も悪かったって言ってたけど
ミチロウさんも、
―――『Azurite』聞いて
テープ送ったんだって」
「……そうなんですか」
「我らが光は、威力強すぎだから…
あのネットの人も
良い方向に行くといいなあ…」
小走りして来た緑川さんに
手で呼ばれる
「どうしたんですか?」
「一階のベランダの桟の所にね
雨に濡れたハンカチが
何か包んで置いてあって…
中身、一応見ちゃったんだけど」
"ユカちゃんの?"って顔されて
「…いいえ 違いマス…」と
答えた
「…あ
中、見ていいですか?」
「うん じゃあ、あずるちゃんかな?」
「…やっぱり 」
「え?」
「…月9ドラマであったんですよ
ヒロインの相手役が
一度、告白した海で、
桜貝を拾って
プレゼントした想い出があって
ラスト直前の回で
物凄い喧嘩した時に、
山ほどの桜貝を拾って
窓辺にハンカチに包んで
届けるって奴……」
「それ、最後どうなるの?」
「そりゃ、ドラマですから…
相手役が外国行きの飛行機に乗る直前
気が付いたヒロインが追いついて
ハッピーエンドですよ?
友達は泣いてましたけど
でも私は、『口で謝れょー』とか
言ってたんで…」
そう言うと
緑川さんと赤池さんに
爆笑された
「追い掛けて来て欲しいのかしら
これは」と
赤池さん
「一応、
あずるちゃんに知らせるべきだよな」
「…ちょっと呼んで来ます」