Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜


一階には誰も居ないみたいで
物音がしない――

皆、部屋に篭ってるっぽくて

海で遊んで、温泉入って
疲れたのかな…


…… そういえば
お母さんから電話ないや

私もしようと思わなかったけど…



ベースを下げたまま
ログハウスの玄関
扉を開ける


―― 夕方の風も
緩んだ空気の中に
やっぱり少し、体を冷ます空気

その風の流れに乗って
外に出てみた


―――星が揺れてる


海の近くに住んでるけど
実は夜って、あんまり来た事ない

何度か
近所のコンビニで
クラスで目立つ子達とかが
男の人達と車で来てるのに
遭遇したりして

皆、"夜の海に行く"と言ってた


向こうはキラキラで
派手な服を着て
海へ向かう、右の道へ

私はジャージなんかで
アイス買って、帰った――



…正直、いいなって思った

クラスなんかじゃ
…ちょっと皆がそのコ達の
悪口言ってるの
黙って聞いてたけど

きっと、皆そうなんじゃないかな

だからあんなに
ナツウタが流行るんだよ―――


―― 考えてみたら
私の今年の夏は、凄いよね

『Azurite』と
"CheaーRuu"と一緒に
夏を過ごした



" 生アズライト "
考えたらすごくない?!
メアドも交換しちゃっ……


――― これじゃ
ただのファンじゃん
友達になったから交換したのに…


やっぱり同じ場所に行かないと
ダメなのかな

やっぱり、どっかでアズさんを
『Azurite』として見てる…



「――ユカちゃん? ひとりなの?」

「…あ 」



二階のベランダに
アズさんが、起きて来た







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