Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



『タカコちゃん、音出して』

『は ハイッ 』


天井から、真面目な、低い
青山さんの声


"CheaーRuu"の作詞は『彼』
作曲は殆ど緑川さんだけど
アレンジは全部、
青山さんがやってるって記事を
見た事ある―――



……… 手首が緩く、冷たくなった


だけど私は
この二人を知ってる


でももし、オーディションとかなら
…全員知らない人達で

そして緑川さん達が言ったみたいな
踏ん反り返ったオッサン達も
中には居るんだ



――― あのライヴハウスの
"お腹いっぱい"のオジサンなんか
きっとまだ良い方で
あれで凹んで弾けない様なら
きっとダメなんだ――



『…ユカちゃん? 』

『……あっ は、はい!!!』


そのマイクを通した声に
私は慌てて、音だしをしたんだけど――


ひとしきり終わったら
青山さんが降りて来て
アズさんの横に
また、歩いて行って、言った



「…ここからは、口だししない

君達の、世界だから」



…… え



そしてアズさんが
後ろ手を組んで、言う


「今夜から、明日の真夜中0時まで
ここをどう使うも
ストロベリーピンクの自由だよ」





「何か用事があれば、すぐ言って」

そう微笑んで腕組みしながら
片手で上を指差し
青山さんはアズさんを伴い、
扉を開いて出ていく



――長身の二人の立ち姿は
とても綺麗で

私はかなり見とれながら
それを、見送った







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