Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜



『…お前も、これ欲しい?』

「……ううん」



…アズさん
この夜光の腕輪ね

一晩経つと 光らなくなっちゃうんだよ


そう言おうか言うまいか
迷った


――― 知ってるか… 多分


私は、それで泣いて
それから一回も買った事が無い

今は
あんなに高く飛ぼうとしてる風船も――




「あずる、次は何が欲しい」

「えっとね… 」


たくさんの風車の廻る前を
アズさんと青山さんが歩く



―― お面が売ってる店の前を通る時
青山さんはアズさんから
そっちが見えない様に
壁になる、みたいに
少し、急いで歩いた


次にアズさんの足が留まったのは
ガラス細工の屋台


ビー玉を指差して
青山さんがまた笑って
ポケットから千円札を出した

お釣りは百円

「三回引けるよ あずる」

「わかった!」


欲しいの買うんじゃなくて
くじ引き形式なんだ


――― 私はここで
あずるさんの引きの強さを見た


三回のうち二回は
小さな普通のガラス細工だったんだけど
最後に引いた時

一等の、大型が当たってしまったのだ


お店のお爺さんが
「おめでとう!!」と言い
紙に包んで、箱に入れた




青山さん達は
少し人波から外れた道の横に行く



集団で飲み物を飲める場所みたいな
ライトに照らされた、テントがあって
青山さんは、ラムネを四本買う


「ターミネー熊の友達が増えた!」と
アズさんは大喜びで

青山さんはもう
ホント甘々な顔で、
煙草に火をつけて、煙をゆっくり吐いた


…… ここに来た時
少しでいいから
マキちゃんと廻って欲しかったんだけど
これは、ムリそう…

――― 『彼』が隣に居るからって
余裕こいてんだな。私


私だって明日にはまた
『日常』に 戻るんだ……






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