Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜




荷物を持って
車に並ぶ私たちの所に
全員集まってくれた


赤池さんが、前に進み出て

「皆、帰る前に これを」


「……あ 」



それは、チェーンに下げられた
ターコイズの指輪

――あの日『彼』が見せてくれた奴だ


マキちゃんには、緑川さん

シノには、赤池さん

ユリちゃんには、『彼』

私には、青山さん

それぞれが首に、かけてくれた


皆、口々に『ありがとう!』と
半泣きだった

私はやっぱり
あの日、ドーンと『左手!』とか
言っときゃ良かった…と
ちょっと思ったけど


――― それぞれの楽器の人が
それぞれに渡してくれたって事が
ものすごく、嬉しかった




…赤池さん達の後ろに下がった『彼』が、私を見て
口だけで『…馬ー鹿』って笑ってる

……わかってるよ、そんな事……


「それと、これはアタシからの
プレゼントよ。」


夕べとは違って
ランニングシャツに、ジーンズを履いて

それでも軽く
メイクしてるナカマさんが
白い紙箱を、やはりそれぞれにくれた


「昨日の浴衣。
チェックしたら、シミは無かったけれど
一応お家に帰ったら
クリーニングに出して頂戴ね

…そして
これから色々な事があって
忙しくなると思うけど…

粧う事は、忘れないで。

………スッピンで
勝負出来る期間なんて
短いのよ?!

おわかり?!小娘達!!」


「は ハイッ!!!」





< 360 / 430 >

この作品をシェア

pagetop