Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
「あー…
こうやってアズは
どんどん遠くに行っちまうのな
まあ…学校の空の下で
文句言っても仕方ないけどさ…
せっかく、来年には
東京行くのに…」
「―――武藤 東京行くの?!」
「行くよー
何か、モデルやるらしいね 俺」
「なにその、ひと事みたいな…」
「実感、まだ湧かないッスヨ
春先に、
原宿に出掛けた時、スカウトされて
でもその時は、ガラじゃないし
名刺だけ貰って、
連絡してなかったんだけど
たった一回きりの人生だし
特に目標もなかったし
やってみるのもいいかなと…」
「…くそぅ…武藤も羽根持ちか…」
「馬鹿だなあ
羽なんか、皆あるんだぜー
でも、自分からは
あんまり見えないんだ
背中にあるから」
「……詩人発見。」
「 あはは 」
「てか、原宿でスカウトって
マジであるんだね
…私、都市伝説かと思ってたよ…」
「な。俺もびっくりした 」
――― そう言えば
背は高いし、膝から下長いし
…武藤の手 見て
『彼』の事思い出したし……
目鼻立ちもはっきりしてるし…
「……うわ!今、気が付いた!!
武藤ってカッコイイんじゃん!!」
「……………。
やっぱり断ろう…」
「 な?! 」
「…中学まで、肥満児だったしね…
ちょっと夢みちゃった…ふふふ」
「何いきなり、
過去の闇に包まれてんの?!
ちょっと皆!
この人どーにかして!!」
金網をよじ登ろうとする武藤を
皆で止めた
武藤も本気じゃなくって
笑ってるんだけどね。