Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
マキちゃんのアニキが
青山さんに言う
「俺が二人共送って帰る
…オマエら、今日夕方から取材あるだろ
マジすまんかった」
―― 仕事あったの?!
マキちゃんも
顔をクシュっとさせて
「ごめんなさい…」と言い
青山さんが
「花火したかったし」
と笑った
―― 皆に送られて
あの綺麗なガラスの自動ドアが開く
外は
木が生えてて
ビルの谷間から、また
遠くにビル
空は、横に長いグレーの雲と
ブルーから白に変わって行く
…何か髪が急にべたつく
クーラーの部屋から出て
一気にそれを感じた
昨日は海に行って、
車で風に当たったからなあ…
マキちゃんのアニキと
喋る皆の横で
『彼』は横を向いて、眠そうにしてる
……会えたけど
あのライヴハウスの時みたいには
全然、話せなかった
それに
―――『彼』と私の間には
あの自動ドアみたいな
透明でピカピカした、
国境みたいなのがあって
私が立っても
そこは開かなくて
『彼』が
こっちに来てくれる時だけ
アッサリ開くんだ
そんな『透明』な壁がある――