Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜





そんなまったりとした
一日を過ごし
夜は家族皆で、庭で花火をした


次の日は部屋に篭って、
ベースを弾いていたけど
チケットの事を皆に知らせなくちゃ!と
電話をした

「なんかすごい久しぶりの気がする!」と
シノが笑ってて

ユリちゃんも
「こないだ加藤先輩が実家に帰って来てて
少し話したけど
頑張ってるみたいだよ〜」と
報告をくれた


――加藤先輩と言うのは
私が去年まで憧れていた先輩で
今ダンサーになるために
東京に出ている

ユリちゃんの八百屋さんの
お隣りの天ぷら屋さんが実家だ


「リナとはどうなったのかなあ」

「ん〜 新しい彼氏と一緒にいるのは
最近、見たけど…」

「マジで?!」

「…多分…
先輩、東京だもんね
仕方ない気もするけど〜
リナ、寂しがりだし…」

「…うん」

「でも私みたいに、結局
一番最初の彼を忘れられないのも
いるからさ〜
やっぱり強いよ」


「……私 一回拒否られてるのに
一生好きだったらどうしよう
有り得そうな気がしなくもない…」

ユリちゃんは笑わないで
"普段出来ないから、
ペディキュアしてる〜"と言いながら
話を続けた


「…でも、青山さんよりは
いい気がするなあ〜…」

「…え…何の話?」

「……わかんないけどねえ
あの部屋、多分
青山さんの部屋じゃないかなあ」

「ど、どれ?!」

「一番最初の、プロモの〜」

「何でわかんの?!」

「一瞬ベットに、ピック映るじゃない

今、あれとは違うの使ってるけど
去年のコンテスト当日は
あれと同じの使ってたんだよね〜」


「わ…わかんない」

「ユカは『彼』しか
見てないんでしょ〜」

ケラケラ笑われる


「しょ…しょうがないし…」


「後、部屋のランプが
オレンジだったのと
最後のライヴシーン……」



―― ライトが、オレンジだった

「……青山さんは
あの部屋で、
誰かと住んでたんじゃないかなあ

それで……」

「…それで?」

「ただ別れただけなら
あんな顔、しない気がするんだよ…」





< 61 / 430 >

この作品をシェア

pagetop