Turquoise BlueⅡ 〜 夏歌 〜
車が一台を残して、走り去った後
マキちゃんのアニキは
うちらの前に残った
そして
背負っていた、青山さんのベースを
『彼』の前に、差し出した
「……トオヤ
これは、オマエが奴に届けろ
…それが1番いい」
マキちゃんが、そこへ進み出る
「私も一緒に……!」
「阿呆!!テメエは帰るんだよ!」
「やっ…!!」
マキちゃんは
"アニキ"に、腕を掴まれ
助手席に放り込まれた
「…トオヤ」
『……何 』
「……"あの時"な
オレ、ボウズなんかより
全然、青山の近くに居たんだ
――けど 足が竦んで
一瞬、動けなかったわ」
『…真木さん…』
「…野音からさ!!
オレらの会社が、設営も、警備も
取り仕切る事になったから!
こういう事は
………二度と起こさせない」
遠くを見る目で
そう言ってすぐに
『ま いいやいいや
とにかく後ろ、乗れや』と
明るく笑い、両手で誘う
そしてマキちゃんのアニキは
後部座席の、ロックを外した